【50万円の損】訪問販売の「足場無料」は本当か?外壁塗装が高くなるカラクリと、クーリングオフの全手順

知識•コラム
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「ピンポーンと突然業者が来て、『屋根が傷んでいますよ』と親切に教えてくれた…」
「営業マンはとても熱心で誠実そうだった。この人なら信じてもいいかも…」

訪問販売の営業マンすべてが、悪徳業者というわけではありません。
中には、地元で真面目に営業している工務店や、独立したてのやる気ある塗装店が、必死に顧客を開拓しているケースも存在します。

しかし、それでも私は「訪問販売での即決契約」を強く反対します。

その理由は、業者の「善悪」ではなく、「費用の構造(コストパフォーマンス)」に致命的な欠点があるからです。
訪問販売の仕組み上、あなたが支払う金額には「高額な営業経費」が上乗せされており、相場よりも確実に高くなってしまうのです。

この記事では、元塗料メーカーの視点で、訪問販売が抱える「構造的なコストの罠」と、もし契約してしまった場合でも負担なく解約できる「クーリングオフの手順」を徹底解説します。

1. 業者が「まとも」でも、あなたが「損」をする理由

「良い人だったから契約したい」
その気持ちは分かりますが、ビジネスの裏側にある「お金の流れ」を見てみましょう。

訪問販売(飛び込み営業)というスタイルは、待っていても客が来ないため、営業マンが足を使って契約を取る手法です。
この手法を維持するためには、莫大なコストがかかります。

あなたの払う200万円の内訳

訪問販売で見積もりを取ると、一般的な相場(100〜120万円)よりも高い、150〜200万円近い金額になることがほとんどです。
その差額はどこへ行くのでしょうか?

【図解】訪問販売のコスト構造

  • 営業マンの歩合給(インセンティブ): 約30万〜50万円
    (訪問販売は完全歩合制が多く、契約1本で高額な報酬が発生します)
  • 会社のアポインター費用・経費: 約30万円
  • 実際の工事費用(現場): 残りの約100万円

つまり、業者がどれだけ誠実で、きちんとした工事をしてくれたとしても、あなたが払ったお金の3割〜4割は「家」ではなく「営業マンの給料」に使われているのです。
これが、訪問販売で契約すると「コスパが悪くなる」決定的な理由です。

2. 誠実な営業マンでも「嘘」をつかざるを得ない事情

「今なら足場代を無料にします」
「近くの現場のついでなので安くします」

営業マンがこのような「甘い言葉」を口にするのは、彼らが嘘つきだからではありません。
そうでも言わないと、割高な見積もりに納得してもらえないからです。

嘘①:「足場無料」という名の値引き演出

足場の設置には、職人の人件費や部材リース代で必ず15万〜20万円の原価がかかります。
これを「無料」と言えるのは、「最初から塗料代などに20万円を上乗せしている」からです。

彼らは「お得感」を演出しないと契約が取れないため、こうした数字のトリックを使わざるを得ないのです。

嘘②:「今日決めてくれたら安くします」

いわゆる「即決営業」です。
なぜ彼らは即決を迫るのか? それは、「他社と比較されたら、価格競争で絶対に勝てない」と分かっているからです。

地元の優良店と相見積もりを取られれば、同じ塗料で50万円も安い見積もりが出てきてしまいます。
それを防ぐために、「今日だけの特別価格」という演出で、あなたの思考を停止させようとするのです。

3. 契約書を確認!「一式見積もり」の罠

もちろん、訪問販売の中にもしっかりとした工事をする業者はいます。
しかし、コストを抑えるために下請け業者に無理な発注をし、結果として手抜き工事を誘発しているケースも少なくありません。

手元の見積書を確認してください。以下の記載があれば要注意です。

⚠️ 危険な見積もりの特徴

1. 「外壁塗装工事 一式」という記載
塗装面積(㎡)や単価が書かれておらず、「一式 150万円」としか書かれていない。
⇒ 塗る範囲が曖昧なため、後で「そこは契約に入っていない」とトラブルになります。

2. 塗料の商品名が不明
「オリジナルシリコン」「ハイグレードフッ素」としか書かれておらず、メーカー名(日本ペイント等)がない。
⇒ 中身は安い塗料なのに、自社ラベルを貼って高級品に見せかけている(OEM)可能性があります。

4. 契約してしまった…!まだ間に合う「クーリングオフ」の手順

「昨日の営業マンは良い人だったけど、やっぱり金額が高い気がする…」
そう感じているなら、一度契約を白紙に戻すべきです。

訪問販売の場合、契約書を受け取った日から「8日以内」であれば、理由を問わず、無条件で契約を解除できます。
これが法律(特定商取引法)で守られた権利、「クーリングオフ」です。

クーリングオフの手順(2025年最新版)

かつてはハガキ(内容証明郵便)が必要でしたが、2022年6月の法改正により、「メール」や「Webフォーム」での通知も法的効力を持つようになりました。

📩 電子メールでの通知例

送信先: 契約書に書かれている業者の代表アドレス
件名: 契約解除通知書(クーリングオフ)

本文:
通知人(あなた)は、被通知人(業者)に対し、以下の契約を特定商取引法に基づき解除します。

  • 契約年月日:令和〇年〇月〇日
  • 商品名:外壁塗装工事
  • 契約金額:〇〇〇万円
  • 契約担当者:〇〇 〇〇

支払い済みの代金がある場合は、直ちに全額返還してください。
以上。
住所:〇〇県〇〇市…
氏名:〇〇 〇〇

【重要ポイント】
送信したメールは、必ず「送信済みトレイ」に残し、画面のスクリーンショットを撮って保存してください。
「良い人だったから悪いな…」と気にする必要はありません。これはあなたの正当な権利です。

5. もう来ないで!訪問販売の「断り方」最強フレーズ

「見積もりだけ…」「点検だけ…」と食い下がられた時、どう断ればいいか悩みますよね。
曖昧な態度は相手の思うツボです。以下のフレーズできっぱり断ってください。

  • 「親戚に塗装業者がいるので、そこにお願いすることになっています」
    ⇒ これが最強です。「身内」には勝てないと知っているため、すぐに帰ります。
  • 「消費者センターに相談したら、契約しないように言われました」
    ⇒ 「公的機関」の名前を出すと、トラブルを恐れて引き下がります。
  • 「これ以上しつこいようなら、警察に通報します(不退去罪です)」
    ⇒ 「帰ってください」と言ったのに居座る行為は、刑法130条の不退去罪にあたります。最終手段として有効です。

6. 結論:比較すれば「100万円」浮くかもしれない

訪問販売の業者がすべて悪徳とは言いません。
しかし、「営業マンの人件費が乗った高い見積もり」であることは事実です。

同じ品質の工事をするなら、少しでも安い方が良いとは思いませんか?

もし手元に訪問販売の見積もりがあるなら、一度、地元の優良業者に「セカンドオピニオン(相見積もり)」を依頼してください。

営業マンを雇わず、口コミだけで経営している地元の塗装店なら、全く同じ塗料を使っても50万〜100万円安くなることが多々あります。
比較して初めて、あなたの家の「適正価格」が見えてくるのです。

その見積もり、騙されていませんか?

「訪問販売に急かされているが、契約していいか不安…」
「クーリングオフをして、まともな業者で塗り直したい」

そんな方は、一括見積もりサービス「ヌリカエ」をご活用ください。
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