【徹底検証】大手ハウスメーカーの外壁塗装はなぜ高い?相場より100万高い仕組みと、保証の真実

知識•コラム
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「積水ハウスの10年点検で、塗装費用250万円の見積もりが提示された…」
「ヘーベルハウスから『純正塗料でないと30年保証が切れる』と言われ、他社に頼むのが怖い…」

大手ハウスメーカー(積水ハウス、ダイワハウス、ヘーベルハウス、セキスイハイム、ミサワホーム、パナソニックホームズ等)で家を建てた施主様の多くが、この「メンテナンス費用の高さ」に悩み、決断できずにいます。

結論から申し上げます。
ハウスメーカーの見積もりは、地元の塗装専門店の相場と比較して「約30%〜50%(100万円前後)」高くなるのが一般的です。

しかし、これはメーカーが不当に利益を得ているわけではありません。
全国規模の「アフターサービス体制」や、倒産リスクの低い「ブランドの維持」、そして何より「新築時の設計図書に基づいた管理」を行うために必要な正当なコストです。

この記事では、元塗料メーカーの視点で、各ハウスメーカーの「純正塗料の実力」「構造上の注意点(ガスケット等)」を解剖し、「ブランドの安心」を取るか、「コストパフォーマンス」を取るか、後悔しない選択基準を解説します。

1. ハウスメーカーと専門店の「100万円の差」はどこから生まれる?

なぜ、同じ家の塗装なのに、依頼先によってこれほど金額が変わるのでしょうか。
その答えは、「誰が工事を管理し、誰が作業をするか」というビジネスモデルの違いにあります。

一般的に、大手ハウスメーカーが塗装工事を自社の社員(正社員)で直接行うことはありません。
実際の施工は、メーカーの厳格な基準をクリアした「協力工事店(地元の塗装会社)」が行います。

【図解】塗装費用の内訳比較

項目メーカー経由で依頼
(総額目安 250万円)
専門店へ直接依頼
(総額目安 150万円)
現場工事費
(材料・職人手間)
約120〜150万円約120〜150万円
諸経費・管理費約100万円
(技術開発費・営業費・本社利益)
0〜10万円
(自社施工のため最小限)
施工品質メーカー基準の均一な品質職人の腕によりピンキリ
(優良店なら同等以上)

つまり、あなたが支払う費用の差額は、「安心料(ブランド維持費)」としての側面が大きいのです。
「何かあった時に大手なら逃げない」「窓口が一つで楽」というメリットに100万円の価値を感じるなら、ハウスメーカーは正解です。

逆に、「中身(工事品質)が同じなら、少しでも安くしたい」と考える方にとっては、専門店への直接依頼が合理的な選択となります。

2. 各社の「純正オリジナル塗料」の正体と性能

ハウスメーカーの見積もりには、市販されていない「専用塗料」の名前が並びます。
これらはOEM(相手先ブランド製造)と呼ばれ、日本ペイントやエスケー化研などの国内大手塗料メーカーと共同開発された高性能塗料です。

【業界分析】各社の塗料と、同等スペックの市販品

メーカー純正品は高品質ですが、専門店でも同等グレードの市販品(フッ素・無機など)を使えば、性能面で劣ることはありません。

  • 積水ハウス「フレアトーン」等
    陶器のような意匠性を持つ高級塗料。
    ⇒ 専門店ならエスケー化研「セラミエレガンス」等の石材調塗料で同等の質感を再現可能。
  • ダイワハウス「ダイナミックセラミック」等
    熱や汚れに強い高耐久塗料。
    ⇒ 専門店なら関西ペイント「アレスダイナミックTOP」等のラジカル制御塗料が同等スペック。
  • ヘーベルハウス(旭化成)「イベリアン」等
    ALCの動きに追従する弾性塗料。
    ⇒ 専門店なら日本ペイント「オーデフレッシュ」等の微弾性塗料で対応可能。

つまり、専門店に頼んで「日本ペイントの最高級プラン」を指定すれば、純正品と変わらない耐久性を、より安価に実現することは技術的に可能なのです。

3. 「保証の継続」か「300万円の節約」か

最も悩ましいのが「延長保証」の問題です。
「他社で塗装すると、長期保証が打ち切りになる」と言われると、誰でも不安になります。

ここで重要なのは、「保証の対象範囲」を正しく理解することです。

  • 構造躯体の保証: 柱、梁、基礎などの「家を支える部分」。
  • 防水の保証: 雨水の浸入を防ぐ部分(今回の塗装など)。

一般的に、他社で塗装を行った場合に終了するのは「防水保証」の部分です。
「他社で塗装したから、家が傾いても保証しません」ということは、法律(品確法など)の観点からも考えにくいです。

冷静なコストシミュレーション

保証を維持するために、相場より100万円高い工事を10年ごとに続けると、30年間で約300万円の差が生まれます。

「300万円のコストをかけて、メーカー保証という保険をかけ続けるか」
「300万円を節約し、浮いたお金で水回りリフォームや教育費に充てるか」

これは正解のない価値観の問題です。ご家族で話し合い、納得できる方を選んでください。

4. 【重要】専門店を選ぶ際の注意点(各社の特殊仕様)

もし「専門店で安く済ませよう」と決めた場合でも、業者選びには細心の注意が必要です。
大手ハウスメーカーの住宅には、一般的な戸建てとは違う「特殊な部材」が使われているからです。

ここを理解していない安売り店に頼むと、施工不良を起こします。

⚠️ メーカー別の技術的注意点

① 積水ハウス・セキスイハイムの「ガスケット」
サイディングの目地に、コーキングではなく「定型ゴムパッキン(ガスケット)」が使われています。
ここに普通の塗料を塗ると、可塑剤が染み出して表面がベタベタになり、黒く汚れます。必ず「専用のプライマー(下塗り材)」が必要です。

② ヘーベルハウスの「ALCコンクリート」
ALCは断熱性が高い反面、水を吸いやすい素材です。
塗装する際は、ひび割れに追従できる「弾性塗料」を選び、かつ防水性の高い下地処理を行う必要があります。

③ パナホーム等の「難付着サイディング」
表面に光触媒や無機コーティングが施されている場合、通常の下塗り材では密着せず、数年で剥がれます。
「難付着対応」の特殊なシーラーを選定できる知識が必要です。

「安いから」という理由だけで経験の浅い業者に頼むのは危険です。
必ず「各メーカーの施工実績が豊富にある優良店」を選定しなければなりません。

5. 結論:まずは「見積もり比較」で現実を知ろう

ハウスメーカーの見積もりが「高い」と感じるのは、そこに「ブランド価値」が含まれているからです。
その価値に納得できるなら、メーカーに依頼するのが一番の安心です。

しかし、「品質が同じなら、価格は適正な方が良い」と考えるなら、一度、地元の優良専門店に見積もりを取ってみることを強くお勧めします。

比較することで初めて、「その100万円の差額に、自分たちにとっての価値があるか?」を冷静に判断できるようになります。

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