「屋根の塗装見積もりを取ったら、A社は『塗装で大丈夫』と言い、B社は『カバー工法じゃないと無理』と言ってきた…」
「塗装なら50万円、カバー工法なら150万円。この100万円の差は何? 騙されているの?」
屋根のリフォームにおいて、この「工法選び」こそが、家の寿命とあなたの資産を守る最大の分かれ道です。
はっきり申し上げます。
もし、あなたの家の屋根が「塗装してはいけない屋根(製造不具合品)」だった場合、安易に塗装を選ぶことは「お金をドブに捨て、さらに雨漏りを加速させる行為」になります。
一方で、まだ元気な屋根なのに、利益重視の業者に騙されて高額なカバー工法を契約してしまうのも大損です。
この記事では、元塗料メーカーの視点で、屋根リフォームの3大工法(塗装・カバー・葺き替え)の「費用と寿命のリアルな比較」から、絶対に塗ってはいけない「魔の屋根材リスト」まで、業者が隠したがる真実をすべて公開します。
1. 【徹底比較】3つの屋根リフォーム工法、どれが正解?
屋根を直す方法は、大きく分けて3つあります。
それぞれの特徴と「松竹梅」の費用感を、まずは表で把握してください。
| 工法 | 作業内容 | 費用相場 (30坪目安) |
耐用年数 |
|---|---|---|---|
| ① 塗装 (メンテナンス) |
今の屋根の上に塗料を塗る。 防水性を復活させるだけ。 ※雨漏りは直らない。 |
40〜80万円 | 10〜15年 (塗料による) |
| ② カバー工法 (重ね葺き) |
今の屋根を残したまま、上から軽い金属屋根(ガルバリウム等)を被せる。 廃材が出ないのでコスパが良い。 |
100〜180万円 | 25〜30年 (ほぼメンテナンスフリー) |
| ③ 葺き替え (交換) |
今の屋根を撤去し、新品の屋根に乗せ換える。 下地の野地板も交換できる。 ※アスベスト処分費がかかる。 |
150〜250万円 | 30年〜 |
結論:どの工法を選ぶべきか?
- 【塗装】でOKな人:
築10〜15年で、屋根材自体に大きな割れや欠けがなく、初めてのメンテナンスの人。
「とりあえず安く、あと10年持たせたい」なら塗装が正解。 - 【カバー工法】を選ぶべき人:
築20年以上、または後述する「塗装できない屋根」の人。
「あと30年、死ぬまで屋根の心配をしたくない」ならカバー工法が正解。 - 【葺き替え】しか選べない人:
すでに雨漏りしていて、屋根の下の木材(野地板)が腐っている人。
瓦屋根から金属屋根に変えて、耐震性を上げたい人。
2. 【警告】塗装してはいけない「魔の屋根材」リスト
ここからが本題です。
もし、あなたの家の屋根が以下の製品だった場合、絶対に塗装をしてはいけません。
これらは1996年〜2008年頃に製造された「ノンアスベスト切り替え時期の製品」であり、強度が著しく低く、塗装してもボロボロと崩れてくる欠陥を抱えています。
① ニチハ「パミール」
【特徴】 ミルフィーユのように層間剥離(そうかんはくり)を起こし、先端からペラペラとめくれてくる。
【塗装の結果】 高圧洗浄をかけた瞬間にボロボロになり、塗装してもその塗膜ごと剥がれ落ちる。塗装は100%無意味。
② クボタ(現ケイミュー)「コロニアルNEO」
【特徴】 不規則に大きなひび割れが無数に発生する。
【塗装の結果】 割れ目を補修しても、また別の場所がすぐに割れるため、イタチごっこになる。職人が上に乗っただけでバキバキに割れる。
③ セキスイ「かわらU」
【特徴】 表面の塗膜が剥がれ、基材が白く露出してボロボロになる。
【塗装の結果】 塗装しても基材自体が脆くなっているため、すぐに塗膜が剥がれる。また、アスベストを含んでいる時期のものもあり、処分費が高額。
⚠️ 知識のない業者は、これらを「塗装」しようとします
恐ろしいことに、経験の浅い営業マンや悪徳業者は、パミールを見ても「劣化してますね、塗装で綺麗にしましょう」と提案してきます。
そして3年後、屋根がボロボロになり、あなたがクレームを入れても「経年劣化です」と逃げられます。
屋根材の種類を正しく鑑定できる業者に見せない限り、リフォームは失敗します。
3. 「カバー工法」が最強のコスパを誇る理由
「塗装できないなら、葺き替え(交換)しかないの?」
いいえ、そこで登場するのが「カバー工法(重ね葺き)」です。
なぜ今、プロの多くがカバー工法を推奨するのか。それには「アスベスト問題」が絡んでいます。
2006年の「アスベストショック」
2004年以前に建てられた家のスレート屋根には、微量のアスベスト(石綿)が含まれている可能性が高いです。
これを「葺き替え(撤去)」しようとすると、法律で厳しく規制された処分方法をとらなければならず、処分費だけで30万〜50万円も跳ね上がります。
しかし、カバー工法なら:
- 古い屋根を剥がさない ⇒ アスベストが飛散しない。
- 処分費がかからない ⇒ 工事費が安く済む。
- 二重屋根になる ⇒ 断熱性と遮音性がアップする。
つまり、「廃材処分費を払うくらいなら、そのお金を新しい屋根材(ガルバリウム鋼板)のグレードアップに使った方が賢い」のです。
これが、カバー工法が選ばれる経済的な理由です。
4. 屋根材の選び方:おすすめは「SGL鋼板」一択
カバー工法をする際、どの屋根材を選ぶべきか。
現在は「ガルバリウム鋼板」が主流ですが、さらに進化した次世代素材があります。
| 素材名 | 耐久性 | 特徴 |
|---|---|---|
| ガルバリウム鋼板 | 20〜25年 | アルミと亜鉛の合金。錆びにくいが、塩害地域では注意。 |
| SGL鋼板 (次世代ガルバリウム) |
30年以上 | マグネシウムを追加し、ガルバリウムの3倍錆びにくい。 価格差はほとんどないため、今はこれ一択。 |
| アスファルトシングル | 15〜20年 | 海外風のオシャレな見た目。表面の石粒が落ちるのが欠点。 |
見積もりを取る際は、「アイジー工業のスーパーガルテクト(SGL鋼板)」などの具体的な製品名を指定すると、業者に「この施主は詳しいな」と思わせることができ、手抜き見積もりを牽制できます。
5. 【プロが教える不都合な真実】屋根診断はドローン必須
屋根の工事で失敗しないために、最も重要なことをお伝えします。
⚠️ 屋根に登る業者を信用してはいけません
「点検しますね」と言って屋根にハシゴをかける業者がいますが、これは非常に危険です。
劣化したスレート屋根(特にコロニアルNEOなど)は、人の体重が乗るだけで簡単に割れます。
悪質な業者の中には、点検と称して屋根に登り、見えないところでわざと瓦を割って「割れてますよ、工事が必要です」と写真を撮る手口(点検商法)を使う輩がいます。
本当に信頼できる優良業者は、屋根を傷つけないために「高所カメラ(ポールカメラ)」や「ドローン」を使って調査します。
「屋根に登りたがる業者」は、その時点で警戒対象リストに入れてください。
6. 火災保険が使える可能性も忘れずに
もし、屋根の劣化や板金の浮きが「台風」などの自然災害によるものであれば、火災保険(風災)が適用される可能性があります。
- 棟板金(むねばんきん)が浮いている
- スレートが割れて落ちてきた
- 雨樋が歪んでいる
これらが認められれば、数十万円の保険金が降ります。
そのお金を「カバー工法」の費用の一部に充てれば、実質的に塗装と同じくらいの金額で、新品の屋根を手に入れることができます。
(※「経年劣化」には保険は使えません。プロによる正しい診断が必要です)
7. まとめ:屋根は「見えない」からこそ、診断が全て
屋根は普段見えない場所です。
だからこそ、パミールのような危険な屋根材であることに気づかず、手遅れになるケースが後を絶ちません。
「塗装で安く済ませたい」という気持ちは分かりますが、まずは「そもそも塗れる屋根なのか?」を中立的な立場で見極めてくれるプロを探してください。
その一度の診断が、将来の200万円を守ることになります。
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