「近くで工事をするので、ご挨拶に来ました」
「今なら足場代を無料にするモニターキャンペーン中です」
突然やってきた営業マンにそう言われ、見積もりを渡されていませんか?
あるいは、その場の勢いで契約書にサインしてしまいましたか?
もしそうなら、今は何もせず、まずはこの記事を最後まで読んでください。
断言しますが、訪問販売(飛び込み営業)での即決契約は、99%の確率であなたが損をします。
彼らが悪い人だからではありません。
「訪問販売」というビジネスモデル自体が、構造的に「手抜き」か「ボッタクリ」にならざるを得ない仕組みだからです。
この記事では、元メーカーの視点で、笑顔の営業マンの裏にある「残酷なコスト構造」と、万が一契約してしまった時の「合法的な脱出方法(クーリングオフ)」を徹底解説します。
1. 訪問販売は「塗装屋」ではなく「営業会社」である
まず理解すべきは、彼らの正体です。
彼らは「塗装のプロ」ではなく、「契約を取るプロ(営業会社)」です。
自社に職人はおらず、契約だけ取って、実際の工事は下請けに丸投げします。
そのため、見積もり金額には、通常の塗装店ではあり得ない「莫大な営業経費」が上乗せされています。
【比較表】あなたの払うお金はどこに消える?
| 内訳 | 訪問販売の場合 (総額200万円) |
地元の優良店の場合 (総額120万円) |
|---|---|---|
| 営業マンの歩合給 (インセンティブ) |
約40〜60万円 (契約1件あたりの報酬) |
ほぼ0円 (自社職人や少人数で対応) |
| 会社利益・経費 | 約40万円 | 約20万円 |
| 実際の工事原価 (材料・職人手間) |
約100万円 | 約100万円 |
| 品質の結論 | 「高いのに、中身は普通」 | 「適正価格で、高品質」 |
訪問販売で契約するということは、「営業マンのボーナス(数十万円)」をあなたがポケットマネーから支払うことと同義です。
この構造がある限り、どう頑張っても地元の優良店より安くなることはありません。
2. 騙されるな!典型的な「嘘のセールストーク」3選
彼らは契約のプロですから、言葉巧みに不安を煽ります。
以下のフレーズが出たら、すべて嘘(または誇張)だと思ってください。
① 「地域限定のモニター価格です」
【真実】 年中いつでもやっています。「今日決めてくれれば」と急かすための常套句です。冷静に比較されると相場より高いことがバレるため、即決を迫るのです。
② 「足場代を無料にします」
【真実】 前述の通り、足場代がタダになることはあり得ません。単に塗料の単価に上乗せされているだけか、塗料のグレードを下げて調整しているだけです。
③ 「親方が近くで塗っていて、屋根が浮いているのが見えた」
【真実】 実際には見えていません。屋根に登らせると、わざと瓦を割って写真を撮る悪質な業者もいます。絶対に屋根に上げてはいけません。
3. 契約してしまった方へ。「クーリングオフ」という最強の武器
「もう契約書にサインしてしまった…」という方。
安心してください。日本の法律は消費者の味方です。
訪問販売の場合、契約書を受け取った日から8日以内であれば、理由を問わず、無条件で契約を解除できます。これが「クーリングオフ」です。
- 違約金は? ⇒ 0円です。1円も払う必要はありません。
- 理由は? ⇒ 「気が変わった」でOKです。
- 方法は? ⇒ ハガキ(簡易書留)や電子メールで通知するだけです。
相手が良い人そうに見えても、遠慮はいりません。
これは法律で認められた正当な権利です。少しでも「高いかも」「怪しいかも」と思ったら、工事が始まる前にリセットしてください。
4. 【重要】優良業者は「向こうからは来ない」
ここで、一つの真実をお伝えします。
⚠️ 腕の良い職人は、営業なんかしなくても忙しい
本当に技術があり、地域で評判の良い塗装店は、口コミや紹介だけで予約が埋まっています。
わざわざ人件費をかけて、知らない家のインターホンを押して回る必要がないのです。
つまり、「向こうから営業に来る」という時点で、その業者は「仕事がなくて困っている(人気がない)」か「営業専門の会社」のどちらかである可能性が極めて高いのです。
塗装工事は、スーパーの特売品ではありません。
「向こうから来た話」に乗るのではなく、必ず「自分から探しに行った業者」と比較して決めるのが、失敗しない鉄則です。
その見積もり、50万円安くなるかもしれません
訪問販売の見積もり額には、高額な営業マージンが含まれています。
クーリングオフ期間中であれば、まだ間に合います。
一括見積もりサービス「ヌリカエ」を使えば、訪問販売の価格が適正かどうか、地元の優良業者の見積もりと比較して「答え合わせ」ができます。
もし訪問販売より安くて条件が良ければ、そちらに乗り換えれば良いだけです。
訪問販売の見積もり価格を診断する
※ 匿名OK。訪問販売業者への断り代行も可能です。
5. まとめ:即決さえしなければ、あなたは負けない
訪問販売の営業マンは、人当たりが良く、熱心に見えるかもしれません。
しかし、彼らの使命は「あなたを守ること」ではなく「今すぐ契約を取ること」です。
「一度検討します」と言って帰ってもらい、その間に冷静に相場を調べてください。
それだけで、数百万円の損失を防ぐことができます。