【警告】トタン外壁のDIY塗装が「9割失敗」する化学的理由。元メーカーが教えるサビと費用の残酷な真実

「トタンのサビが目立ってきた。業者に頼むと高いから、ホームセンターで塗料を買って自分で塗ろう」

もし、あなたが今そう考えているなら、その計画は「お金をドブに捨てる」のと同義です。
厳しい言い方になりますが、これは脅しではなく、塗料化学に基づいた事実です。

なぜ、トタン（金属）のDIYは半年〜1年でベロベロに剥がれてしまうのか？
それは、「塗料の選定」と「下地処理」において、プロと素人の間には埋められない「科学的な壁」が存在するからです。

この記事では、精神論ではなく、なぜDIYでは物理的に不可能なのかを徹底的に解説します。
読み終えたとき、あなたは「業者に頼んだほうが、結果的に数十万円安い」という事実に気づくはずです。

1. ホームセンターの塗料が「おままごと」である理由

まず、あなたがホームセンターで手に取ろうとしている「鉄部用塗料」。
缶には「高耐久」「サビの上から塗れる」と書いてあるかもしれません。

しかし、私たちプロから見れば、それは「誰でも塗れるように性能を極限まで落とした液体」に過ぎません。

プロが使う塗料と、市販の塗料。最大の違いは「硬化剤」の有無です。

❌ 市販の塗料（1液型）
空気に触れて乾くだけ。例えるなら「糊（のり）」です。
膜が柔らかく、金属の熱伸縮（夏は膨張し、冬は縮む）に耐えられず、すぐにヒビが入ります。
⭕ プロの塗料（2液型・弱溶剤エポキシなど）
主剤と硬化剤を混ぜて「化学反応」を起こし、ガチガチのプラスチック樹脂を生成します。
これが金属に分子レベルで結合するため、10年以上剥がれません。
※ただし、混ぜてから4時間以内に塗り切らないと固まってゴミになるため、素人には扱えません。

ホームセンターの塗料で塗るということは、「過酷な外壁に、糊を塗って守ろうとしている」のと同じなのです。

「サビを紙やすりで落とせばいいんでしょ？」
この認識が、失敗の元凶です。

プロが行う「ケレン（下地調整）」には、明確な目的があります。
それはサビを落とすだけでなく、ツルツルの金属面に微細な傷（アンカーパターン）をつけて、塗料の食いつきを良くすることです。

塗装を長持ちさせるには、JIS規格などで定められた「3種ケレン」以上の精度が必要です。
これは、「活膜（生きている塗膜）は残しつつ、死膜（浮いている塗膜）とサビを完全に除去し、金属面を露出させる」という高度な作業です。

これを家一軒分、手作業のワイヤーブラシや紙やすりで出来ますか？
プロは「サンダー」や「マジックロン」という電動工具や専用研磨剤を使い、数人がかりで丸一日かけて行います。

DIYでありがちな「サビが少し残った状態」や「表面を撫でただけの状態」で塗料を塗るとどうなるか？
塗膜の下でサビが爆発的に進行し、1年後には塗料ごとボロボロと崩れ落ちてきます。こうなると、もうプロでも補修できず「外壁の張り替え（100万円〜）」コース確定です。

「業者の見積もりが60万円だったから、自分でやれば5万円で済む」
これは、計算式が間違っています。

まともな仕上がりにしようとすれば、これだけの「見えない出費」が発生します。