「屋根を綺麗に塗装したはずなのに、なぜか天井にシミができた…」
「リフォーム直後なのに、屋根裏がカビ臭い…」
信じられないかもしれませんが、これは「塗装したことが原因」で発生した雨漏りの典型的な症状です。
原因はたった一つ。
「縁切り(えんきり)」という必須工程が行われていないからです。
「せっかく塗装で隙間を埋めたのに、なぜ漏れるの?」と思われるかもしれません。
しかし、屋根(スレート瓦)においては、「隙間を埋めてしまうこと」こそが、寿命を縮める最大のタブーなのです。
この記事では、多くの手抜き業者が無視する「毛細管現象(もうさいかんげんしょう)」という物理法則と、あなたの家を守るための「正しい見積もりの見方」を解説します。
1. なぜ、屋根の隙間を埋めると雨漏りするのか?(物理的メカニズム)
屋根の構造は、「あえて隙間を作る」ことで水を排出するように設計されています。
スレート瓦の重なり部分には、雨水を外に逃がすための数ミリの隙間が必要です。
しかし、塗装でこの隙間をベッタリと埋めてしまうと、どうなるでしょうか?
⚠️ 恐怖の「毛細管現象」が発生します
コップに入れた水にストローを差すと、水面より高く水が吸い上げられますよね? これが毛細管現象です。
狭い隙間ほど、水は重力に逆らって奥へ奥へと吸い込まれていきます。
【塗装による雨漏りのプロセス】
- 塗料で瓦の隙間がふさがり、「中途半端に狭い隙間」ができる。
- 雨が降ると、毛細管現象で雨水が屋根の裏側に吸い上げられる。
- 逃げ場を失った水が、防水シートを腐らせ、野地板(木の土台)に浸透する。
- 室内に雨漏り発生。
つまり、縁切りをしない塗装工事は、「屋根に巨大なスポンジを取り付けて、水を吸い込ませている」のと同じことなのです。
2. 「カッター」vs「タスペーサー」施工方法の比較
この惨劇を防ぐために行うのが、隙間を確保する「縁切り」作業です。
現在は、効率的で確実な「タスペーサー工法」が主流ですが、未だに古いやり方をする業者もいます。
| 工法 | カッター切り (旧来の工法) |
タスペーサー (現在の主流) |
|---|---|---|
| 作業内容 | 塗装乾燥後に、カッターや皮スキで一枚ずつ塗膜を切る。 | 下塗り後に、ポリカーボネート製の器具を瓦の間に差し込む。 |
| メリット | 材料費がかからない。 | 隙間が確実に確保できる。 屋根を傷つけない。 |
| デメリット | 塗装が剥がれる・汚れる。 またくっつく可能性がある。 |
材料費(3〜5万円)がかかる。 ※唯一の欠点 |
| プロの評価 | 「やったフリ」をする手抜き業者が多い。信用できない。 | 必須。これを入れない見積もりは論外。 |
タスペーサーを入れると数万円コストが上がります。
しかし、それは「家を腐らせないための保険」です。ここを削る提案をしてくる業者は、構造を理解していない素人か、確信犯の手抜き業者です。
3. タスペーサーが「使えない」屋根の罠
「よし、見積もりにタスペーサーと書いてあれば安心だ」
…と思った方。実は、そう単純ではありません。
⚠️ そもそも「塗装してはいけない屋根」かもしれません
タスペーサーは万能ではありません。
実は、「劣化が激しすぎてタスペーサーを入れると割れてしまう屋根」や、「製品自体に欠陥があり、塗装しても無駄な屋根(パミール・コロニアルNEOなど)」が存在します。
もし、あなたの家の屋根が「塗装不可」の状態なのに、業者がそれに気づかず(あるいは無視して)タスペーサーを入れて塗装したらどうなるか?
数年で屋根材がボロボロに剥がれ落ち、結局「葺き替え工事(200万円コース)」になります。
「タスペーサーを入れるか」以前に、まず「この屋根は塗装で守れる状態なのか?」を正しく診断できるプロに見てもらわないと、お金をドブに捨てることになります。
あなたの屋根、「塗っていい状態」ですか?
屋根の上は自分で見ることができません。
だからこそ、ドローンや高所カメラを使って、忖度なしで「塗装か、葺き替えか」を診断してくれる業者が必要です。
一括見積もりサービス「ヌリカエ」なら、屋根の知識が豊富な地元の優良業者を比較できます。
「タスペーサーの項目が見積もりに入っているか?」のチェックも、アドバイザーがサポートします。
我が家の屋根の「正しいメンテナンス法」を知る
※ しつこい営業電話はありません。
4. まとめ:屋根塗装は「塗る」より「切る」が大事
屋根塗装は、ただ色を塗れば良いわけではありません。
「水をいかに排出するか(排水設計)」を無視した塗装は、家を破壊する行為です。
タスペーサー(縁切り)の重要性を理解し、構造まで考えて施工してくれる業者を選んでください。
それが、雨漏りのない快適な生活を守る唯一の方法です。