外壁塗装において、塗料選びで最も大切なのは「地域の気候特性を考慮すること」です。
同じ関東エリアでも、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県では気温や湿度、海風の影響などが大きく異なります。
この記事では、それぞれの地域に最適な外壁塗料を専門的な視点から解説し、
“地域気候に合わせた塗料選び”で住宅を長持ちさせる方法を紹介します。
1. 東京エリア|排気ガス・都市熱に強い塗料を
東京はヒートアイランド現象が顕著で、夏は気温35℃を超える日が多く、
さらに交通量による排気ガス・粉塵・紫外線の影響も大きい都市環境です。
気候と環境の特徴
- 年間平均気温:16.6℃前後
- 夏季の最高気温:35℃以上の日が増加傾向
- 排気ガス・煤煙による外壁汚れが多い
おすすめ塗料
| 種類 | 特徴 | おすすめ製品例 |
|---|---|---|
| フッ素塗料 | 汚れに強く、紫外線にも強耐性 | 日本ペイント「ファイン4Fセラミック」 |
| 無機塗料 | 高耐久・防汚・低光沢で高級感 | アステックペイント「超低汚染リファイン1000MF」 |
| 遮熱塗料 | 夏の室温上昇を軽減 | 日本ペイント「サーモアイウォール」 |
💡 ポイント
都心部では「排気汚れ対策+遮熱性能」を両立する塗料がベスト。
艶アリ仕上げにすることで汚れが付着しにくく、メンテナンス周期を延ばせます。
2. 神奈川エリア|塩害と湿気対策を重視
神奈川県は海に面した地域が多く、特に湘南・三浦・横須賀エリアでは塩害による劣化が課題です。
また、海風による湿気の影響も大きいため、防カビ・防藻性能も求められます。
気候と環境の特徴
- 年間湿度:70%前後と高め
- 海風・塩害による金属腐食が多い
- 梅雨・台風時期の風雨量が多い
おすすめ塗料
| 種類 | 特徴 | おすすめ製品例 |
|---|---|---|
| フッ素塗料 | 塩害に強く耐久性が高い | 関西ペイント「アレスダイナミックTOP」 |
| 無機塗料 | 紫外線・塩分・湿気に強い | エスケー化研「プレミアム無機」 |
| 断熱塗料 | 冬の結露防止にも有効 | 日進産業「ガイナ」 |
💡 ポイント
「塩害+湿気対策」を意識して、防カビ・防藻・防錆成分を含む塗料を選ぶこと。
軒天・破風などの金属部分は、専用の錆止め下塗りが重要です。
3. 埼玉エリア|高温乾燥対策と遮熱性を重視
埼玉県は内陸性気候で、夏の気温が非常に高く、冬は乾燥します。
特に熊谷・所沢・川越などでは、関東屈指の猛暑地域として知られています。
気候と環境の特徴
- 夏季の最高気温:40℃近い日もあり
- 湿度は東京より低め
- 冬場は乾燥によるひび割れが発生しやすい
おすすめ塗料
| 種類 | 特徴 | おすすめ製品例 |
|---|---|---|
| 遮熱塗料 | 夏場の熱気を反射し省エネ | 日本ペイント「サーモアイSi」 |
| 弾性シリコン塗料 | ひび割れ追従性が高い | アステックペイント「シリコンREVO1000」 |
| 無機塗料 | 耐候性が高く再塗装周期が長い | エスケー化研「スーパーセラタイトF」 |
💡 ポイント
遮熱性+柔軟性のある塗料で「猛暑と乾燥」に対応。
特に外壁がモルタルの場合は、弾性タイプの塗料を選ぶとクラック防止に効果的です。
4. 千葉エリア|塩害と湿気、沿岸風への耐久性がカギ
千葉県は海に囲まれた地域が多く、太平洋側では塩害・風害・湿度の影響を強く受けます。
特に九十九里や館山などの沿岸部では、塗膜の早期劣化が見られることもあります。
気候と環境の特徴
- 年間平均湿度:約70%
- 海風による塩分付着が多い
- 夏は高温多湿、冬は潮風で乾燥気味
おすすめ塗料
| 種類 | 特徴 | おすすめ製品例 |
|---|---|---|
| フッ素塗料 | 紫外線・塩害に強い | 関西ペイント「アレスアクアフッソ」 |
| 無機塗料 | 防藻・防カビ性能が高い | アステック「リファイン1000MF-IR」 |
| 高耐候シリコン | コスパ重視の沿岸向け | エスケー化研「クリーンマイルドシリコン」 |
💡 ポイント
千葉では「塩害+湿気+紫外線」の三重対策が必要。
外壁だけでなく、金属屋根や雨樋などの付帯部メンテナンスも忘れずに。
5. 地域別まとめ表
| 地域 | 主な気候リスク | おすすめ塗料 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 排気ガス・都市熱 | フッ素・無機 | 防汚・遮熱重視 |
| 神奈川 | 塩害・湿気 | 無機・断熱 | 防カビ・防錆重視 |
| 埼玉 | 高温・乾燥 | 遮熱・弾性シリコン | ひび割れ対策 |
| 千葉 | 塩害・湿気・風 | フッ素・無機 | 耐久・防藻性重視 |
6. 地域特性を踏まえた塗料選びのコツ
- 立地環境を業者に正確に伝える
→ 海沿い・日当たり・交通量などを具体的に。 - メーカー公表データを確認
→ 反射率・透湿性・防藻性能などを数値で比較。 - 地域密着の施工店を選ぶ
→ 地元気候に詳しく、最適な塗料提案が期待できる。
7. まとめ
同じ関東圏でも、地域によって塗料の選び方はまったく異なります。
気候条件に合った塗料を選ぶことで、外壁の寿命は5〜10年長くなることもあります。
- 東京:汚れ・熱対策
- 神奈川:塩害・湿気対策
- 埼玉:猛暑・乾燥対策
- 千葉:塩害・風対策
地域特性を理解して塗料を選ぶことが、
「見た目も性能も長持ちする家づくり」への最短ルートです。
