外壁をよく見ると「細いヒビ」や「筋状の割れ」を見つけることはありませんか?
それは“クラック”と呼ばれる現象で、見た目以上に建物の劣化が進んでいる可能性があります。
この記事では、外壁クラックの種類・原因・放置リスク、そして適切な修繕方法を専門的に解説します。
1. 外壁クラックとは?放置するとどうなる?
クラック(Crack)とは、外壁や下地にできるヒビ割れのこと。
モルタル外壁・サイディング外壁のどちらにも発生することがあり、
原因や深さによっては雨漏りや構造劣化の前兆になることもあります。
⚠️ クラックを放置すると起こる問題
- 雨水の侵入による壁内部の腐食
- カビ・藻の繁殖による外観劣化
- モルタルの剥離や膨れ
- 建物の耐久性低下(最悪の場合、構造クラックへ)
2. クラックの種類と見分け方
外壁のクラックにはいくつかの種類があり、原因・危険度も異なります。
下の表で分類を確認しましょう。
| クラックの種類 | 特徴 | 危険度 | 対処法 |
|---|---|---|---|
| ヘアクラック | 幅0.3mm以下の微細なひび | ★☆☆ | 経過観察・再塗装でOK |
| 構造クラック | 幅1mm以上・深いひび割れ | ★★★ | 早急な補修・専門業者へ |
| 開口クラック | サッシ・ドア周りの割れ | ★★☆ | コーキング補修+塗装 |
| 乾燥クラック | モルタル収縮による表面割れ | ★☆☆ | 下塗り・弾性塗料で補修 |
| 縦クラック | 地震・地盤沈下が原因 | ★★★ | 構造調査が必要な場合あり |
3. クラックの主な原因
(1)温度変化による膨張・収縮
日中と夜間の温度差、夏と冬の気候変化により、外壁が伸び縮みすることでクラックが発生します。
(2)乾燥収縮(モルタル特有)
モルタルは水分が蒸発して固まる素材のため、施工後に収縮してひび割れやすくなります。
(3)地震や地盤の動き
地盤沈下や微振動によって構造に応力が加わると、縦方向のクラックが発生します。
(4)施工不良・下地処理不足
下地の乾燥不足・プライマー未塗布・コーキング処理不良など、人為的な施工ミスも原因になります。
4. クラックの自己診断チェックリスト
| チェック項目 | 状態 | 対処 |
|---|---|---|
| ヒビの幅が0.3mm未満 | 表面劣化 | 再塗装で可 |
| ヒビが1mm以上・深い | 下地劣化 | 補修+塗装必須 |
| ヒビから水が染み出る | 雨漏りリスク | 専門業者に相談 |
| 同じ箇所に再発 | 構造クラック疑い | 建物調査が必要 |
💡ポイント: クラックゲージ(幅測定定規)を使うと、目視より正確に判断できます。
5. クラック補修方法(症状別)
🧱 ① ヘアクラックの補修方法
- 高圧洗浄後に下地清掃
- 弾性下塗り材を塗布(微弾性フィラーなど)
- 上塗りに弾性塗料(シリコンまたはフッ素系)
👉 おすすめ塗料例:
- 日本ペイント「パーフェクトトップ」
- エスケー化研「弾性クリーンマイルドシリコン」
🔧 ② 構造クラックの補修方法
- ひび割れ部をVカット or Uカット処理
- プライマー塗布後、コーキング充填
- サーフェーサーで平滑化し、再塗装仕上げ
👉 使用材料例:
- 変成シリコン系コーキング材(例:オート化学「オートンイクシード」)
- 弾性系下塗り材(アステックペイント「EC-5000PCM」など)
🪜 ③ サイディング壁のクラック補修方法
- サイディングの継ぎ目(目地)を確認
- 劣化コーキングは必ず打ち替え工法を実施
- シーリング後にUVカット塗料で保護
👉 補足: サイディングのクラックは放置すると雨水侵入し、下地ボードを腐らせます。早めの対応が重要です。
6. クラックを防ぐ塗料と施工のポイント
- 弾性塗料を使用して伸縮に追従させる
- 下地処理を徹底し、再発を防止
- 施工前に地盤や構造のチェックを行う
- 壁材に合った塗料グレードを選ぶ
| 塗料種類 | 弾性 | 耐用年数 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アクリル | × | 5〜7年 | 経年劣化が早い |
| シリコン弾性 | ◎ | 10〜15年 | コスパ良・再発防止 |
| フッ素弾性 | ◎ | 15〜20年 | 高耐候性・艶持ち良好 |
✅ クラック対策まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な原因 | 温度差・乾燥・地盤・施工不良 |
| 放置リスク | 雨漏り・構造劣化・再発 |
| 対応策 | 補修+弾性塗料による再塗装 |
| 再発防止 | 下地処理+適正施工+定期点検 |
まとめ
クラックは小さなヒビでも放置すると、雨水侵入・カビ・剥離・構造ダメージにつながる深刻な問題です。
ヘアクラックなら再塗装で対応できますが、構造クラックや再発クラックは専門業者による補修が必要。
「ただのヒビ」と侮らず、定期的な点検と早めの対応で住宅を長持ちさせましょう。
