外壁塗装は、施工方法を誤ると美観や耐久性に大きな影響を与えます。
ここでは、実際に起きた代表的な不具合と原因・対策を紹介します。
これを知っておけば、業者選びや工事監理の際に安心できます。
1. 塗膜の膨れ・剥がれ
事例
塗装後数ヶ月で壁面に膨れや剥がれが発生。特に南面や日当たりの良い箇所で多く見られる。
主な原因
- 洗浄後の乾燥不足
- 下地の湿気・雨水の残留
- 下塗り材の選定ミス
- メーカー仕様外の塗り回数・希釈率
- 雨天時や高湿度下での施工
対策
- 洗浄後は最低24〜48時間の乾燥時間を確保
- 下塗りの吸い込み確認を必ず実施
- 雨天・湿度85%以上時は施工中止
- 契約書に「膨れ・剥がれ保証」条項を明記
2. 色ムラ・濃淡の不均一
事例
同じ色なのに面によって明暗差があり、光の角度でムラが目立つ。
主な原因
- 塗料の撹拌不足
- ロット(製造番号)の異なる塗料を混用
- 重ね塗りの乾燥時間を無視
- 塗布量のバラつき
対策
- 塗料は施工前に撹拌を十分行う
- 同一ロットの塗料を使用
- インターバル(乾燥時間)を厳守
- 各層の塗布量を管理
3. 色味が想定と違う
事例
サンプルでは理想の色だったのに、実際は「白すぎる」「暗い」「艶が強すぎる」と感じる。
主な原因
- 小面積サンプルと大面積塗布の見え方差
- 光沢度(艶あり/3分艶/艶消し)の違い
- 周囲環境や反射光による視覚差
- 塗料の乾燥後の色変化
対策
- A4以上の実塗板サンプルを屋外で確認
- 晴天・曇天・夕方など時間帯別で見比べ
- 艶あり/艶消しを実際に並べて比較
4. はみ出し・塗り残し・ラインの乱れ
事例
窓枠や雨樋の縁に塗料がついていたり、細部の塗り残しが目立つ。
主な原因
- 養生の精度不足
- 雑な刷毛塗り・ローラー操作
- 時間短縮優先の工期圧縮
対策
- 養生を2重構造にする
- 職人が細部専用の刷毛を使って仕上げる
- 工事中の中間検査を依頼
- 契約書に「仕上がり基準(見切り線精度)」を明記
5. 追加請求・見積もりとの乖離
事例
工事途中で「補修が必要」と追加料金を請求され、最終的に見積額より10万円以上高くなった。
主な原因
- 事前の下地調査が不十分
- 追加作業の契約条件が不明確
- 契約書に「追加料金発生条件」が記載されていない
対策
- 現地調査時に「想定外の補修箇所」を写真記録
- 契約書に追加工事単価・判断条件を明記
- 相見積もりを最低2社から取得
✅ チェックリスト:施工前に必ず確認すべき項目
| 項目 | 内容 | チェック |
|---|---|---|
| 洗浄後乾燥期間 | 24〜48時間確保されているか | □ |
| 使用塗料 | メーカー・品名・ロット統一されているか | □ |
| 施工条件 | 湿度85%以下・気温5℃以上で施工されるか | □ |
| 養生精度 | 2重養生または防水カバー使用か | □ |
| 契約内容 | 追加費用・保証内容が明記されているか | □ |
まとめ
外壁塗装のトラブルの多くは、「乾燥不足」「工程省略」「塗料の取り扱いミス」による施工不良です。
事前に施工管理と契約内容をしっかり確認すれば、ほとんどの不具合は防げます。
特に、塗装前後の写真提出・中間検査・保証書の有無をチェックするのが重要です。
