外壁塗装を成功させるには、適切な工程と丁寧な作業が不可欠です。どれだけ高価な塗料を使っても、工程を省略したり順序を誤ったりすれば、すぐに剥がれやムラが発生します。
ここでは、一般的な住宅における外壁塗装の標準施工手順と、職人が実際に重視するチェックポイントを解説します。
1. 足場設置・養生
作業内容
- 建物の周囲に足場を設置
- 窓・玄関・バルコニーなどを養生シートで保護
- 塗料が飛散しないように養生テープでしっかり固定
ポイント
- 足場の安定性=安全性+塗りムラ防止。職人が均等に作業できる距離が重要
- 養生の精度が高い業者ほど仕上がりが美しい
- 窓は二重カバーが理想(塗料飛散と湿気防止のため)
2. 高圧洗浄・下地清掃
作業内容
- 100〜150気圧程度の水圧で、旧塗膜・カビ・汚れを除去
- 屋根・雨樋・軒下なども丁寧に洗浄
ポイント
- 洗浄後は24〜48時間乾燥を確保
- 湿ったまま塗装すると、密着不良や膨れ・剥がれの原因に
- サイディングの目地や軒下は、水が残りやすいので特に要注意
3. 下地補修(ひび割れ・コーキング)
作業内容
- クラック(ひび割れ)をVカット補修+シーリング充填
- コーキング目地を打ち替えまたは増し打ち
- 剥離部分はケレン(研磨)で除去して平滑化
ポイント
- ひび割れは放置NG。防水層の劣化に直結
- コーキングは打ち替え>増し打ちが基本
- 補修材と塗料の相性(アクリル・ウレタン・シリコン系など)を確認する
4. 下塗り(シーラー・プライマー)
作業内容
- 外壁材に適した下塗り材を全面に塗布
- 吸い込みが多い箇所には2回塗り
ポイント
- 下塗りは「のり」の役割。これが弱いとすべて台無し
- 塗り残しがあると、色ムラや剥離が発生
- サイディングには浸透型シーラー、モルタルにはフィラーを選定
5. 中塗り・上塗り(主塗装)
作業内容
- 主塗料(例:シリコン・フッ素・無機)を2回塗り
- ローラー・吹付けを使い分けて均一膜厚を確保
ポイント
- 塗布量と乾燥時間(インターバル)はメーカー仕様書通りに厳守
- 艶あり/3分艶はムラが出やすいため、撹拌・試し塗りが大切
- 塗料の種類によって希釈率や重ね順が異なるため、プロは天候と湿度で調整する
6. 仕上げ・点検・補正
作業内容
- ムラ・塗り残し・タレの有無を全方向から確認
- 雨樋・水切り・配管・軒天など細部を補正
- 養生撤去・清掃・足場解体
ポイント
- 光の角度によってムラが出るため、朝・昼・夕方にチェック
- 養生テープを剥がすタイミングを誤ると塗膜が割れる
- 足場解体は完全乾燥後(24時間以上)に行うのが理想
7. アフターケアと定期点検
作業内容
- 塗装後1ヶ月以内に初期点検
- 1年・3年・5年ごとに劣化チェック(特に南面)
ポイント
- 汚れがついたら中性洗剤+柔らかいスポンジで軽く洗う
- 早期に剥離や変色を見つけたら、施工保証を活用
- 塗膜の寿命を延ばすには、雨樋・屋根との一体管理が重要
まとめ
外壁塗装は「材料3割・施工7割」。
つまり、どんな高性能な塗料でも、職人の手順管理と施工精度が品質を左右します。
特に下地処理と乾燥管理を徹底すれば、塗膜は10年以上美観を維持できます。
失敗しない外壁塗装の第一歩は、
「丁寧な工程説明をしてくれる業者」を選ぶことです。
