外壁の雨漏りは塗装では直らない?原因と正しい対策をプロが解説

「外壁塗装をすれば雨漏りも防げる」と思っていませんか?
実はこの考え、半分正解で半分間違いです。

塗装は“防水効果を高める”ことはできますが、
根本的な雨漏りの修繕にはならないケースが多いのです。

この記事では、外壁からの雨漏りの仕組みや原因、
そして塗装では解決できない場合に取るべき対策を、専門的にわかりやすく解説します。


1. 外壁からの雨漏りが起きるメカニズム

雨漏りとは、単に外壁から雨水が染み込む現象ではなく、
建物内部に水が侵入し、構造材や断熱材を傷める状態を指します。

雨漏り発生の3ステップ

  1. 外壁の隙間やひび割れから雨水が侵入
  2. 内部の防水層・防水紙を超えて構造材へ到達
  3. 木材腐食・カビ・シミなどの被害が進行

💡 ポイント:
外壁塗装は“表面の防水”しか担っていないため、
内部の防水層が劣化していると、どんな高級塗料を使っても雨漏りは止まりません。


2. 外壁からの雨漏りの主な原因

原因内容塗装で解決できるか
クラック(ひび割れ)モルタルやサイディングのひび軽度なら◎・深いものは×
シーリング劣化目地のひび・剥離打ち替えが必要(塗装では×)
サッシ周りの隙間コーキングの劣化・施工不良シーリング補修で対応
ベランダ・笠木の隙間防水層の劣化塗装では×・防水工事が必要
屋根や外壁の接合部シーリングや水切りの不備塗装では×

つまり、塗装で防げるのは“表面保護レベル”まで。
侵入経路が構造部分にある場合は防水工事や補修工事が必要になります。


3. 「塗装で雨漏りを直す」は危険な理由

❌ 一時的に止まったように見えるだけ

塗膜が一時的に水の侵入を抑えることはありますが、
根本的な隙間や内部浸水を解消していないため、時間が経つと再発します。

❌ 内部で腐食・カビが進行

内部の断熱材や木材が湿ったままだと、
見た目が綺麗でも内部では腐食・白アリ・カビが進んでいます。

❌ 業者選びを誤ると再施工費用が増大

「塗装で直りますよ」という営業トークは危険信号。
本来は雨漏り診断士や赤外線カメラ調査で原因を特定してから施工内容を決めるべきです。


4. プロが行う雨漏り診断の流れ

1️⃣ ヒアリング・現地調査
被害箇所・時期・天候条件を確認。

2️⃣ 散水試験・赤外線カメラ調査
実際に水をかけて、侵入経路を特定。

3️⃣ 劣化部の確認
外壁目地・サッシ廻り・屋根との取り合いをチェック。

4️⃣ 対策提案
塗装・シーリング・防水工事のどれが必要かを判断。

💬 コツ:
見積もりを取る際は「雨漏り診断士」または「外装劣化診断士」の資格を持つ業者を選ぶと安心です。


5. 雨漏りを根本的に直す対策方法

✅ シーリング打ち替え

外壁サイディングの目地や窓枠周辺の劣化を補修。
古いコーキングを撤去してから新しく打ち直します。

✅ クラック補修

モルタル壁やALCパネルのひび割れ部分を、
エポキシ樹脂などの充填材で補修後、上塗りで仕上げます。

✅ 防水工事

バルコニー・笠木・屋根との取り合いなど、
塗装では防げない箇所はFRP防水・ウレタン防水などを施工。

✅ 下地補修+再塗装

外壁全体に劣化がある場合は、下地補修をしてから再塗装。
「高耐久シリコン」「フッ素」「無機塗料」などが適しています。


6. 雨漏りを放置した際のリスク

被害内容結果
壁内断熱材の湿気カビ・ダニの発生
構造材の腐食建物強度の低下
室内結露・シミクロスや床材の劣化
電気系統の漏電感電・火災リスク

💡 目に見えるシミや剥がれは、すでに内部が傷んでいるサインです。
「室内に染みが出てから対応」では手遅れになることも。


7. 雨漏り対策に適した塗料・工法

種類特徴適用箇所
弾性塗料(シリコンREVO・プレミアムシリコン)ひび割れ追従・防水性能◎モルタル・ALC外壁
無機塗料(アレスダイナミックMUKIなど)耐候性・防汚性が高く再発防止広範囲の再塗装
シーリング材(オートンイクシード)長期耐久・柔軟性サイディング目地・サッシ周り

8. まとめ

外壁の雨漏りは、塗装だけでは根本解決できません。
「水の入口」と「内部の通り道」を明確に特定し、
適切な補修・防水工事を行うことが何よりも大切です。

外壁塗装を検討している人は、まず雨漏り診断から始めることをおすすめします。
原因を特定せずに塗装をしてしまうと、
美観は保てても、内部では被害が進行してしまう可能性があります。

正しい知識と信頼できる業者を選んで、
“見えないところから住まいを守る”外壁リフォームを実現しましょう。

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