外壁塗装を行う際、「高圧洗浄って本当に必要なの?」と疑問を持つ人は少なくありません。
しかし結論から言えば、塗装前の高圧洗浄は絶対に省略してはいけない工程です。
この工程を丁寧に行わないと、塗膜の密着不良・早期剥離・カビ再発など、施工不良の原因となります。
この記事では、高圧洗浄の役割・作業手順・注意点を専門的に解説し、
「洗浄を軽視するとどうなるのか」まで詳しく紹介します。
1. 高圧洗浄の目的とは?
外壁塗装の前に行う高圧洗浄には、主に以下の3つの目的があります。
① 汚れ・ホコリ・カビ・藻の除去
長年の雨風や排気ガスで外壁には目に見えない汚れが蓄積しています。
これを落とさないまま塗料を塗ると、密着力が低下してすぐに剥がれます。
② 旧塗膜の劣化層を除去
チョーキング(粉吹き)した古い塗膜を洗い流すことで、
新しい塗料の密着性を高め、塗膜寿命を延ばします。
③ 外壁表面の殺菌・防藻効果
高圧水流だけでなく、必要に応じて防カビ洗浄剤を使用することで、
塗装後の再発リスクを抑えます。
2. 高圧洗浄の仕組みと使用機材
業者が使用する洗浄機は「業務用高圧洗浄機」で、
150〜200kgf/cm²の水圧で外壁の汚れを吹き飛ばします。
| 種類 | 圧力 | 特徴 |
|---|---|---|
| 家庭用洗浄機 | 約100kgf/cm² | 洗浄力が弱く、塗装準備には不十分 |
| 業務用洗浄機 | 約150〜200kgf/cm² | 塗膜や藻を根こそぎ除去できる |
💡 ポイント:
洗浄時間の目安は25〜30坪の住宅で約4〜6時間。
この工程をしっかり取らない業者は注意が必要です。
3. 高圧洗浄を省略した場合のリスク
高圧洗浄を適切に行わなかった場合、以下のようなトラブルが起きます。
- 塗料が密着せず、1〜2年で剥がれる
- カビや藻が再発し、外観が悪化
- 下地に残った粉や油膜が原因で色ムラ発生
- 塗膜下で湿気がこもり、膨れ・気泡が発生
💬 実際の例
「工期短縮で洗浄を半日にした結果、半年で塗膜が浮いた」というトラブルも多数報告されています。
4. 外壁材ごとの洗浄ポイント
| 外壁材 | 注意点 | 推奨方法 |
|---|---|---|
| モルタル | 表面が柔らかいため、近距離洗浄NG | 20〜30cm離して洗浄 |
| サイディング | コーキング目地に注意 | 目地部分は圧力を弱める |
| ALC | 吸水性が高い | 乾燥時間を長めに取る(24時間以上) |
| 木部 | 水圧を下げて表面を傷つけない | ソフト洗浄+乾燥徹底 |
5. 高圧洗浄の手順と流れ
- 足場設置・養生
→ 周囲の家や車をビニールで保護。 - 水道接続・圧力調整
→ 適正圧力(150kgf/cm²前後)に設定。 - 外壁・屋根洗浄
→ 上から下へ順番に汚れを除去。 - 乾燥時間の確保
→ 最低でも24時間以上の乾燥を確保。 - 乾燥後に下塗り開始
→ 水分が残っていると塗膜剥離の原因に。
6. 費用相場と所要時間
| 建坪 | 洗浄費用相場 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 25坪 | 約2〜3万円 | 約4〜5時間 |
| 30坪 | 約3〜4万円 | 約5〜6時間 |
| 40坪 | 約4〜5万円 | 約6〜8時間 |
洗浄剤を使用する場合は+5,000〜10,000円程度かかる場合があります。
7. 洗浄時の注意点
- 雨の日・湿度85%以上の日は避ける
- 洗浄後の乾燥時間を短縮しない
- サッシ・換気口・ベランダなどは事前に養生を徹底
- 洗浄水が隣家に飛散しないよう対策を取る
💡 業者チェックポイント
作業中に「表面の粉が流れて白濁した水が出る」=しっかり洗浄できている証拠です。
8. 高圧洗浄と中性洗剤の併用について
外壁にカビ・コケが多い場合は、「中性洗剤+防藻剤」を使うことがあります。
これにより、再発防止効果が高まり、塗膜の密着も安定します。
ただし、洗剤成分が残ると塗装不良の原因になるため、
洗剤を使った後は必ず「十分なすすぎ洗浄」が必要です。
9. 高圧洗浄後の乾燥が不十分な場合の危険性
乾燥が足りないまま塗装を始めると、
内部の水分が蒸発して塗膜内部に気泡ができることがあります。
これが「膨れ」や「剥離」の直接原因。
最低でも24時間、できれば丸1日〜1.5日の乾燥時間を取るのが理想です。
10. まとめ
高圧洗浄は、外壁塗装の仕上がりと耐久性を左右する最重要工程です。
省略や手抜きはすぐに結果に現れます。
- 洗浄圧力と乾燥時間を守る
- 汚れ・コケ・旧塗膜を完全に除去
- 施工写真を必ずもらう
この3点を意識すれば、塗装後も美しい状態を長く維持できます。
見た目のきれいさはもちろん、塗料の本来の性能を発揮させるための基礎が「高圧洗浄」なのです。
