シリコン系上塗り塗料5社“鬼比較”|公式技術資料に基づく中立レビュー

同じ「シリコン系」でも、各メーカーで樹脂構造・低汚染技術・耐候性・施工条件が大きく異なります。 ここでは国内主要メーカー5社(日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研、アステックペイント、ロックペイント)の代表的シリコン塗料を、メーカー公式資料をもとに中立比較します。


比較対象製品一覧

メーカー代表製品タイプ主な特長
日本ペイントオーデフレッシュSi100Ⅲ/水性シリコンセラUV1液水性・反応硬化オール水性仕様。親水化低汚染+防藻防かび。塗替え用シリコンの定番。
関西ペイントアレスダイナミックTOP1液水性UVトラップ+ラジカルバリアによる高耐候性。標準仕様書が詳細。
エスケー化研エスケープレミアムシリコン1液水性ラジカルコントロール技術搭載。JIS耐候形1種取得。仕上がり・艶選択が豊富。
アステックペイントシリコンREVO1000(-IR)1液水性高シリコン含有(一般品の約3倍)。ラジカル制御+遮熱仕様を選択可能。
ロックペイントハイパービルロックセラ/1液ユメロックDX1液水性架橋/弱溶剤1液JIS耐候形1種適合。HALS+帯電防止モノマーによる低汚染設計。

耐候性・期待耐用年数比較

製品名試験/グレード公表耐候性・期待耐用年数
オーデフレッシュSi100Ⅲ促進耐候試験(SWOM)高耐候2級相当約10〜15年
アレスダイナミックTOPラジカル制御+耐候形1種約15年
エスケープレミアムシリコンJIS A6909 耐候形1種約13〜15年
シリコンREVO1000(-IR)高シリコン含有・社内耐候試験約13〜16年
ハイパービルロックセラJIS A6909 耐候形1種約15〜18年

※実際の耐用年数は施工環境・膜厚・下地処理品質により変動します。


樹脂設計・ラジカル制御技術

  • 日本ペイント:親水化技術で汚れを雨水で洗い流す「セルフクリーニング性」。
  • 関西ペイント:UVトラップ+ラジカルバリア+高密着設計。日射によるチョーキングを抑制。
  • エスケー化研:ラジカルコントロール技術で酸化チタン由来の劣化を抑制。
  • アステックペイント:高シリコン結合比により緻密な塗膜。REVO-IRは遮熱顔料配合。
  • ロックペイント:HALS(光安定剤)+コーティングTi+帯電防止モノマーで静電付着汚れを防止。

仕上がり・低汚染性

製品艶の種類防汚設計
日本ペイント艶あり/7分艶/5分艶/3分艶/艶消し親水化・低汚染処方。雨筋汚れ防止。
関西ペイント艶あり/半艶/3分艶親水性塗膜で汚染物を付着しにくい。
エスケー化研艶あり/3分艶/艶消し防かび・防藻・低汚染シリコン樹脂配合。
アステックペイント艶あり/3分艶ラジカル制御+高密着塗膜。防汚性◎。
ロックペイント艶あり/5分艶/3分艶帯電防止+撥水効果により高い低汚染性能。

施工仕様と注意点

  • 推奨温度:気温5℃以上/湿度85%以下(全社共通)。
  • 洗浄後の乾燥不足は塗膜膨れの主因。リシン・モルタル面は2日以上乾燥が望ましい。
  • 塗布量:概ね0.25〜0.35kg/㎡(2回塗り)。塗り重ね間隔は23℃で3〜5時間が標準。
  • 艶消し品は樹脂量が減るため、耐候性は艶ありより1ランク低下。
  • 金属・付帯部には弱溶剤型(例:ユメロックDX)が適する。

総評:性能バランスで選ぶなら

  • 価格と施工安定性のバランス → 日本ペイント/エスケー化研
  • 長期耐候・艶・光沢重視 → 関西ペイント/ロックペイント
  • 遮熱+長寿命+省エネ性重視 → アステックペイント(REVO-IR)
  • 付帯部も一括で塗りたい場合 → ロックペイント(外壁×ユメロックDX)

まとめ

シリコン系は「バランス型」の中核グレードですが、メーカーごとの設計思想が明確です。 選定時はカタログ上の数値だけでなく、現場環境・下地材質・施工店の得意メーカーを考慮することが最重要です。 どの製品も、メーカー仕様書の塗布量・乾燥時間を厳守することで本来の性能を発揮します。


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